書評
—荒木秀明(著)—「非特異的腰痛の運動療法—症状にあわせた実践的アプローチ」
板場 英行
1
1前・川田整形外科・リハ科
pp.1076
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200049
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腰痛は,腰椎,椎間板,椎間関節,神経根,腰部関与筋と軟部組織などの病変が発症原因と考えられている.しかし,臨床的にみると,腰痛の約80%は,医学的診断と臨床症状が一致せず,痛みの原因が特定できない非特異的腰痛である.その意味で,腰痛症例の治療では,診断名や画像所見に固執せず,眼前の対象者から把握できる病態と臨床症状を包括的に評価分析し,的確な臨床推論と臨床判断を駆使した治療介入を行い,臨床考察により治療効果を確認するプロセスが重要である.学際的には,医学モデルに生物・心理・社会的要因に視点を拡充した包括的・多角的・集学的アプローチが強調されている.腰痛の運動療法における近年の動向は,腰部症状に起因した局所基盤治療から,骨盤帯や下肢関節,身体上位構成体との連結,運動機能障害連鎖を考慮したトータルアプローチへと変化している.
このたび,医学書院から荒木秀明著『非特異的腰痛の運動療法—症状にあわせた実践的アプローチ』が発刊された.著者の荒木氏とは,2001年から3年間,徒手理学療法関係の講習会で,ともに講師を務めたことがある.臨床家としての鋭い視点から理論と実技を展開される姿勢に共感したことを覚えている.
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