書評
—舟波真一・山岸茂則(編集)—「運動の成り立ちとは何か—理学療法・作業療法のためのBiNI Approach」
藤縄 理
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1埼玉県立大学保健医療福祉学研究科保健医療福祉学専攻リハビリテーション学
pp.1041
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200038
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理学療法・作業療法の基礎科学には,解剖学,生理学,運動学などの基礎医学,臨床医学,そして心理学などがある.理学療法(physical therapy)の場合は,さらに文字通りphysicalというように物理学(physics)も入る.作業療法(occupational therapy)は作業科学が入るのだろうか.本書のタイトルは『運動の成り立ちとは何か』であるが,内容はまさに療法を行うための基礎医学,臨床医学,物理学,心理学,作業科学などを基礎に,日々の実践をもとに新たな治療体系を紹介しようというものである.著者らはこの概念を「統合的運動生成概念」といい,手法をBiNI Approach(Biomechanics and Neuroscience Integrative Approach)と名付けている.
本書をめくると統合的運動生成概念の説明があり,そのあとに力学,解剖学,神経科学,バイオメカニクスなどの説明が続いていく.理学療法の基礎科学の一つとして物理学があるなどと言われても,正直言って物理学は苦手という人も多いのではないだろうか.さらには,新しい分野に挑戦しようとしているためか,新たに定義した用語や,あまり聞きなれない用語がかなり出てくる.例えば,「加速度は力である」などは「エ! 違うでしょう」,「姿勢は運動である」と言われると「そんなふうに習っていない!!」と思ってしまう.そして,非線形力学,量子力学,Global Entrainment(グローバル・エントレインメント:大域的引き込み),アフォーダンス理論,などが続いてくると「はァ??」となってしまう.
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