臨床実習サブノート 臨床実習における私の工夫・6
人工関節術後症例のリスク管理とプラスアルファ
遠藤 弘司
1
Koji Endo
1
1聖マリアンナ医科大学東横病院リハビリテーション室
pp.882-888
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106770
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はじめに
リハビリテーション分野においてもリスク管理は近年重要視され,関連書籍も多く出版されている.臨床実習においても,担当症例を「良くする」ための理学療法介入で「悪くする」ことが当然あってはならない.リスク管理は理学療法士にとって必須のスキルであり,それは実習生にとっても重要である.
臨床実習では,人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)や人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)のような人工関節術後症例を担当することが少なくない.その際には,術後リハビリテーションプロトコール(術後プロトコール)にしたがって理学療法を展開していく1)ことが多い.一方,近年は在院日数の短縮により理学療法介入の早期化や加速化が進むと同時に,患者自体の高齢化により併存疾患や合併症リスクが増加傾向にある.そのため,THAやTKAといった人工関節術後症例へ介入する際には,ただ漫然と術後プロトコールに則って行うのではなく,全身的なリスク管理を行いながら注意深くリハビリテーションを進める必要がある.
そこで本稿では,THAとTKAを中心とした人工関節術後症例のリスク管理の実際について,基礎的に押さえておくべき部分に加え,やや発展的な内容を織り込み,実習の流れを考慮して解説する.また,レポート作成のときに役立つよう,各病態の簡単な説明や発生率に関するデータなども併記していく.
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