増刊号 Common Drugs 350の投与戦略
代謝・栄養障害治療薬
カルシトニン製剤(骨粗鬆症治療薬)
アルファロール(中外)=ワンアルファ(帝人)
細井 孝之
1
,
大内 尉義
1
1東京大学医学部老年病学
pp.349-350
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905638
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臨床薬理
●作用機序:アルファロール®あるいはワンアルファの®製品名で知られる薬剤は同一の活性型ビタミンD3製剤である.これらの一般名は1α-hydroxy-vitamin D3であり,ビタミンD3の1α位が水酸化されたものである.ビタミンD3は食品中からも摂取されるが,体内においても,紫外線の影響のもと,皮膚において合成される.ビタミンD3がその生理活性を発揮するには1α位と25位が水酸化された1α,25-dihydroxy-vitamin D3になる必要があり,1α位の水酸化は腎臓で,25位の水酸化は肝臓で行われることが知られている.本剤は,この一方の水酸化がなされているということで活性型ビタミンD3の範疇に入れられるが,体内で吸収された後にさらに肝臓で水酸化される必要がある.
1α-hydroxy-vitamin D3は,体内で1α,25-di-hydroxy-vitamin D3となり,腸管や腎臓,骨組織といった標的臓器に作用する.腸管においてはカルシウムの吸収を促進し,腎臓においてはカルシウムの再吸収を促すことが示されている.この結果,骨粗鬆症患者,特に高齢者におけるカルシウム代謝を改善し,骨量の維持・増進に結びつくものと考えられる.さらに,骨では骨形成系,骨吸収系の両方に直接作用し,骨代謝を活性化することによって骨粗鬆症の治療効果が得られるものと考えられる.
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