特集 発達障害児の理学療法と生活指導
発達障害児の整形外科手術後の理学療法と生活指導
楠本 泰士
1
Yasuaki Kusumoto
1
1東京工科大学医療保健学部理学療法学科
キーワード:
OSSCS
,
筋解離術
,
二次障害
,
単関節筋
,
アライメント
Keyword:
OSSCS
,
筋解離術
,
二次障害
,
単関節筋
,
アライメント
pp.111-117
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106547
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はじめに
発達障害児に対する整形外科術後の身体機能の改善は,粗大運動機能の改善や歩行パラメーターの向上,上肢機能の改善など多く報告されている1~3).われわれが経験している術後の身体機能変化は,手術による効果と術後リハビリテーションによる効果が合わさったものであり,それぞれの効果を明確に分けることはできない.
脳性麻痺に対する手術では,障害の程度や機能レベルが異なるため,各症例に合わせて手術内容も異なり,術後の回復過程もさまざまな様態を示す.また,同様の運動レベルの患者であっても筋の痙性や関節可動域制限の程度が異なるため,同部位で同じ筋を侵襲していても筋の延長量が症例ごとに異なることもある4).このように,一定の運動レベルで同様の手術を施行した症例を集めることが困難なため,発達障害児に対する術後リハビリテーションの効果を検討した報告は限りなく少ない.しかし,手術の目的を整理し理解することで,手術の効果や限界を知ることができる.それにより,術後リハビリテーションの効果をとらえやすくなり,退院後の生活指導につなげることができると考えている.
本稿では,整形外科手術の概念と目的を概説し,脳性麻痺患者に多く行われている股関節筋解離術と,脳性麻痺患者の二次障害で最も問題となる頸髄症に対して行われている頸部筋解離術,それらの術後理学療法について紹介する.
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