特集 心理・精神領域の理学療法
精神科疾患と理学療法
上薗 紗映
1
Sae Uezono
1
1医療法人社団光生会平川病院
pp.103-108
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106194
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精神科患者を取り巻く現状
精神科患者は増加の一途をたどっていると言われており,病床数は2010年度で日本全病床数1,593,354床のうち,346,715床(約21.8%)を占めている1).また,近年の自殺者数の増加も社会問題として認知されており,自殺防止対策も含めて精神科医療の担う役割は大きい.大高ら2)は,自殺未遂患者の75%は精神疾患を有してと報告しており,身体障害を抱える精神科患者も多いと思われる.しかし,こういった患者は,救命救急センターや整形外科病棟など一般病床での継続フォローが難しい面も多い.一方で,精神科病床では重症度の高い身体合併症に対する濃厚なリハビリテーションの実施が難しいことが多く,精神疾患をもつ患者の身体合併症治療に取り組むことさえ困難な現状がある.
さらに,厚生労働省が2011年10月14日に公表した資料3)によると,全体の平均在院日数が32.5日であるのに対し,精神科病床の平均在院日数は335.4日と長期にわたっている.特に,単科の精神科病院では長期入院患者を多く抱え,その高齢化による身体合併症の問題が深刻化しているとされる.長期入院患者や罹患期間の長い患者は自己管理の不十分さから生活習慣病を併発することも多い.そうした内科疾患だけでなく,脳血管疾患,骨折をはじめとした整形外科疾患など,対象となる領域も多岐にわたる.
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