特集 介護保険制度下のリハビリテーション
介護保険制度下の介護老人保健施設でのリハビリテーション
肥田 秀昭
1
Hida Hideaki
1
1老人保健施設けあ・ばんけい
pp.155-161
発行日 2002年3月15日
Published Date 2002/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105996
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入所について
1)中間施設としての役割
平成1年老人保健施設(以降,老健施設とする)は中間施設としての役割を担ってスタートし,急性期から回復期の医学的リハビリテーションによって獲得された身体機能や能力を補完しつつ,実際の生活場所でのADLへと適応を促してゆくことが期待された役割であったと思われる.当時は現在のように在宅関連のサービスは充実してはいなかったし,「在宅」という言葉さえ聞かれなかった頃であり,手厚い十分なリハビリテーションといえば入所環境の下で行うものという,やはりどこか医学的リハビリテーション的な入院加療的な“常識”がベースとしてあったように思い起こされる.
在宅を進めるためには「不足したリハビリを補えばよい」「環境整備をすればよい」「介助方法の指導を行えばよい」と,とにかく目に見えるリハビリテーションを進め,在宅サービスを整えたが,それでも入所の長期化するケースが次々と現れた.また,同時にデイケアという在宅サービスに取り組むなかで在宅を促進・維持するために取り組むべき課題の広がりと奥深さを知るようになった.サービスを提供する側が在宅へのスムーズな移行を阻害している最も厄介な問題に取り組む術を持たなかったのであるから,如何に声高に「在宅」を叫ぽうとも,利用する側が長期入所を望むようになるのは当然のことだったのである.設立当初は「通過施設」とも呼ばれた老健施設は,社会的入院の問題を解決することも重要な役割であったが,病院の問題をそのまま施設に移しただけで,利用者は「通過」せずに留まってしまった.
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