連載 福祉部門で働く医師からの手紙
これからの高齢者福祉施設と老人保健事業—〔1〕介護保険時代を迎え老人保健施設に期待すること
出口 安裕
1
1大阪府福祉部
pp.822-823
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901990
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私どもが担当している高齢者福祉施設と在宅サービスおよび老人保健事業は今,ひとつの激動期の中にある.新ゴールドプラン(高齢者保健福祉計画)および保健事業第3次計画の目標達成年次をあと1年余りにひかえ,またそれと続く形で導入の決まっている(平成12年4月),介護保険制度の準備と基盤整備のためであり,保健・医療・福祉の制度上の変革点を目前にしているためである.また,老人保健法に基づく老人保健事業の規定からがん検診関連が本年4月より削除された.
わが国では欧米先進国に比べ人口の高齢化が急速に進行したわけであるが,その本格的な超高齢化社会の到来を迎え,保健・医療・福祉の連携のもとに,高齢者福祉については,その適切な福祉サービス提供のためのシステム構築が求められている.特に,わが国においては,人口の高齢化の進展と75歳以上の後期高齢人口の急速な増加に伴って,寝たきりや痴呆などにより介護を必要とする者が着実に増加している.今日,高齢者の介護の問題は重要で,現行の老人福祉と老人保健の二つの異なる制度の再構築を図り,社会全体で介護を必要とする者の介護を支える新たな仕組みとして,介護保険制度が創設されることとなった.介護保険制度は,利用者の選択により,保健・医療・福祉にわたるサービスを総合的に利用できるシステムを創設するものであり,また,サービスの質の向上と地域の実情に応じた介護サービス基盤の拡充を図ろうとするものである.
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