特集 理学療法に関わる整形外科の最新知見
手の外科と理学療法
石田 治
1
,
伊藤 義広
2
Ishida Osamu
1
1広島大学医学部整形外科
2広島大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.102-107
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105980
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屈筋腱損傷
1)背景
手指屈筋腱はMP関節から末梢では腱鞘内を走行する.腱鞘内での手指屈筋腱縫合は古くから試みられてきたが,術後に癒着して腱の十分な滑走が得られず,満足できる結果が得られていなかった.特に示指から小指においては浅指屈筋腱と深指屈筋腱の2本がMP関節からPIP関節の少し末梢までこの狭い腱鞘内で伴走するために“no man's land”と呼ばれ,屈筋腱縫合を行ってはいけない場所とまでされていた.しかし,1960年のVerdanの報告,1967年のKleinertのゴムバンドによる早期運動療法の報告,intrinsic healingの証明以来,早期運動療法の意義が尊重され,一次修復術が普及してきた.しかし,一次修復が行えても,一定期間外固定すると,癒着形成を避けることは困難で,しばしば二次的に腱剥離術を要していた.そこで早期運動が提唱され,早期運動療法に対する工夫や,早期運動療法に耐えうる,より強固な縫合法の開発によって,自動屈曲を加えた早期運動療法が行われるようになった.
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