講座 運動発達障害・6
運動発達障害に対する理学療法―養護学校における経験から
山口 香奈子
1
Yamaguchi Kanako
1
1東京都立多摩養護学校機能訓練部
pp.905-909
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105689
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はじめに
全国の養護学校に勤務する理学療法士の立場は,都道府県によって,あるいは学校によってそれぞれ異なると思われる.筆者は養護学校での研修をきっかけに,養護・訓練教諭の資格試験をうけ,東京都の職員として採用された.
初めは,学校という教員組織のなかで主導的に訓練を進めていく自信がなく,できれば病院や施設で経験を積んでから養護学校に勤務したいと考えていた.自信がないのは今も同じだが,この職場が大好きで,養護学校に就職できて良かったと思っている.それは多分,養護学校が子どもたちにとっても大好きな場所だからだと思う.
学校は,ほとんどの子どもにとって安心できる楽しい場所である.初めはなかなか馴染めない子どもも,安心できる楽しいところになるよう,先生たちは取り組んでいる.学校は全人格的に発達を促すところであり,1人ひとりの実態や課題を見据え,子どもの心や全身の感覚に働きかけ,笑顔や興味を誘い,楽しさや,(何かを)やりたい気持ち,意欲を積み上げていく.その過程を一緒に過ごせることは,筆者にとってもとても幸せなことだ.
今回,このような場をいただいたので,養護学校の子どもたちの様子,教員の関わりなどを紹介し,同じような子どもを診ている病院や施設の方々と連携を深められればと考えている.
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