特集 ICUにおける理学療法
ICUにおける頸髄損傷患者の理学療法
濱田 哲郎
1
,
半田 一登
1
,
高橋 精一郎
2
Hamada Tetsuro
1
1九州労災病院リハビリテーション科
2九州リハビリテーション大学校理学療法学科
pp.95-100
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105486
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1.はじめに
頸髄損傷は,単に四肢および体幹の運動・感覚麻痺をきたすのみでなく,急性期より呼吸・循環を含めた全身管理やその他の合併症の予防が必要とされ,理学療法士が果たすべき役割は大きい.また,受傷・術直後の急性期,ベッドから車椅子へ移行する離床期,リハ室で行う回復期,家庭・社会復帰するための復帰準備期などの過程を考えても,入院期間が長期化することが必然となる.
しかし,医療制度や医療保険制度の改革が叫はれている昨今,「長期入院の是正」「在院日数の短縮」の声が臨床の場にも聞こえており,我々理学療法士が何らかの工夫と提言をなす必要を感じている.全ての疾患において,入院期間短縮のためにはまず早期からのアプローチ1)が必須となるが,頸髄損傷の場合,受傷・術後の安静固定期が少なからずある.その時期に行われるリハプログラムの内容が病態を踏まえた的確なものであり,リスク管理まで考慮されていること,そして訓練効果が効率よく発揮されることが早期回復,早期退院への第一歩になる.
この稿ではICUで管理される受傷・術直後の安静固定期および高位頸髄損傷での人工呼吸器管理下の状況をふまえた上で,理学療法の具体的な内容について述べることとする.
なお,ここでの高位頸髄損傷の「高位」とは吉村2)らに従い,麻痺の上昇により人工呼吸管理を必要とするC4損傷を含め,横隔膜麻痺による人工呼吸依存例とする.
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