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編集後記
内山 靖
pp.722
発行日 1998年9月15日
Published Date 1998/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105147
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理学療法は,当然のことながら時代の社会情勢や国民のニーズと密接に関連し,主体となる対象や治療の方法も変化しています.今月号の特集のキーワードである“救急医療”は,昭和48年から51年頃に国の施策の一環として誕生・発展してきた分野の1つです.昭和48年は難病対策要綱が策定された年でもあり,一方では交通外傷等による救命救急医療の充実が,他方では慢性進行性疾患に対する長期療養生活の充実が望まれていたようです.現在ではいろいろな分野で,両極化(2極化)と再統合(再構築)が叫ばれていますが,このこと自体は両極がともに発展した証ともいえるのでしょう.両極には共通した本質が存在している場合が多く,各自が歴史的な変遷を眺めて自身の知識・技術を再統合することこそ大切なことではないでしょうか.
入門講座は,「筋力と身体諸機能」が始まりました.理学療法士にとって筋力は最も身近で重要な要素の1つです.関連した特集も数多く組まれていますが,今回は特に身体諸機能との関連から筋力を考えていこうとしています.臨床医学が臓器別に展開されてきた現状から,理学療法も疾患別に括られている面をもっています.理学療法では,さらに障害に対する接近が積極的に模索され,これまで疾患・障害の組み合わせでそれぞれの分野が発展してきているようです.
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