とびら
変化に対応する職場管理
中川 司
1
1ベルランド総合病院リハビリテーション科
pp.389
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105083
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超高齢化社会が進行するなかで,保健・医療・福祉を取り巻く外部環境は急速に変化し,理学療法士の職域も広がりをみせている.こうした変化のなかでこそ,職場管理者はその役割を再考すべきだと思う.上司の指示を鵜呑みにし,部下の発案に“イエス,ノー”を示すだけでなく,施設の方針や上司の指示と部下の意見に自らの発案を交えた多種多様な発想のなかから,今後の方向性や価値を見いだし,より良い医療サービスを提供できる環境を構築することが職場管理者の役割であると,私は考えている.「給与が安い」「休みが無い」「仕事が忙しすぎる」といった現場の声や,「経費節減」「人員削減」「サービス向上」などの施設の方針のすべてを,「保険制度や社会環境などの外的要因の急激な変化のせいだから仕方がない」と片づけてしまうのでは管理者としての役割放棄といわざるを得ない.
また,上司と部下の間に立って,これらの諸問題を上司の納得のいくように,かつ,部下に文句をいわれないように常に中庸を守り,何の議論もないまま自らの発想のみで解決していくことも,同じく管理者の役割放棄といわれても仕方があるまい.こうした管理方法からは急激な社会の変化に対応できる発想は生まれてくるはずもなく,外部環境の変化に一時的には適応できても,長期的な問題解決には決してつながらない.
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