特集 今後の結核問題
ろんそう
結核の撲滅のために
管理変化に対応したきめ細かい結核対策
井田 直美
1
1大阪府池田保健所
pp.337-338
発行日 1966年6月15日
Published Date 1966/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203265
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昭和26年以来,結核予防法の改正が数回にわたって行なわれ,結核対策は強化されてきた。まず最初に進歩した治療法の公費負担制度への採用,ついで国民一人のこらず無料による健康診断の実施,最後に結核患者管理体制の推進などがその主要なものであった。すなわち現在の結核対策は早期発見のための健康診断,患者管理および医療の推進が3本の柱となっている。このようにして治療医学の進歩を中核としたこれらの対策により,この10年間の成果として死亡率は1/3に,発病率は1/2に減少した。それだけをみると,結核は著しく減少し,いまにもわが国における結核は問題とならない時期がくるように考えられる。しかし有病率でみるとわずかに2/3に減少したにすぎず,今なおいささかも結核対策はおろそかにできず,これまでの結核対策の3本の柱に加えて結核症の質的変化に対応した新しいきめの細かい対策が一層必要である。その問題点と対策の2, 3についてのべる。
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