特集 小児の理学療法
大学病院における小児の理学療法の実態と留意点
菊地 延子
1
,
横田 一彦
1
,
海島 麻衣
1
Kikuchi Nobuko
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.386-392
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104792
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1.はじめに
当院リハビリテーション部(以下,リハ部)は1963(昭和38)年7月1日に国立大学病院として初めて開設され,リハ部として独立したのは1970(昭和45年)である.
病院の性格と特徴1)として,総合病院のなかの中央診療部門のなかに位置し,整形外科を除く各科(22科)からの依頼を受けて診療を行っている.したがって開設当初から,①急性期が多く全身状態の悪い患者も多く,全対象患者の全身健康管理や運動量のコントロールの必要性が大きいこと,②疾患・障害の種類が多彩であること,③難治性・進行性の神経疾患が少なくないこと,④極めて珍しい疾患や新しい疾患と思われる場合もあること,などの特徴がある.
この傾向については,十数年経た現在もあまり変わらず,むしろ対象の疾患・障害の重度・重症化,合併症の重複化がみられる.このようなハイリスク患者の増加により必然的にベッドサイドでの理学療法が多く,ここ10年間は,一部を除きほぼ50%を越えている(図1).
理学療法士は人工呼吸管理下,中心静脈栄養管理,尿カテーテル,心電図モニター,血圧モニターなど,ありとあらゆるモニター下での,いわゆる俗に“スパゲッティ症候群”ともいわれるケースのベッドサイド理学療法を行っている.
この傾向は小児の場合でも同様である.今回は当部の小児疾患・障害の推移とその特徴,実際の理学療法について症例を含めて呈示したい.
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