特集 理学療法の展望
21世紀の理学療法―私はこう考える
理学療法の多様化―ジェネラルから専門別理学療法の時代へ
菊地 延子
1
Kikuchi Nobuko
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.896-898
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104929
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7月20日,朝からアトランタ・オリンピック開会式典の模様がテレビ中継されていた.いよいよクライマックスで最終聖火ランナーへのトーチの引き継ぎがされる所であった.その人は女性ランナーからトーチを引き継ぎ,走ることなくその場でトーチを高々と掲げたが,反対側の左上肢がぶるぶる震えていた.それは一見,パーキンソン病の様にみえたが,彼はめげずに堂々とトーチを点火ポイントに着火,炎はみるみる上空の最終ポイントに燃え上がっていった.この最終ランナーは,かつてのボクシングヘビー級のゴールドメダリスト,モハメド・アリその人だった.
この場面をみて,やっぱりアメリカはずごい!とその寛容さに感銘したのは私ひとりだけではなかったのではないか? 彼は兵役を拒否し,チャンピオンベルトを剥奪され,ある時はアメリカの黒人差別反対の闘士でもあった.日本であったら考えられたであろうか?
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