特集 小児の理学療法
小児の脳腫瘍に対する理学療法
稲田 里美
1
,
児玉 三彦
2
,
奥木 尚子
1
,
山田 彰
1
,
出江 紳一
2
Inada Satomi
1
1東海大学医学部附属病院リハビリテーション科
2東海大学医学部附属病院リハビリテーション学教室
pp.393-400
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104794
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1.はじめに
脳腫瘍は頭蓋内に発生する新生物の総称であり,組織型や発生部位の違いにより様々な臨床像を呈する.たとえ良性腫瘍であっても,発生部位により治療が困難で,予後不良な転帰をとる例も少なくない.小児脳腫瘍の場合は,あらゆる面で発達段階にあるため更に多様な経過をたどる.
脳腫瘍の歴史のなかでは外科手術が常に治療の中心にあり,1976年以降CTの普及で早期診断や正確な部位診断が可能になった.さらにマイクロサージェリーによる腫瘍切除範囲の改善,加えて放射線治療(以下,放治)や化学療法(以下,化療)の併用により生存率は向上しつつある.これに伴ってADLやQOLの問題もクローズアップされるようになり,リハビリテーション(以下,リハ)へのニーズも年々高まってきたといえよう.
当院においてリハへ依頼される小児脳腫瘍患者は年間それほど多くはないが,重症例が多く,リハを行っていく上で理学療法士として何をしてあげられるのか,医療チームのなかでの役割,訓練の目的や意義について十分考えなければならない.当院での経験をもとに実際どのような考え方で訓練を進めているのかをまとめてみた.
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