クリニカル・ヒント
ボバース概念とインテーク
紀伊 克昌
1
1ボバース記念病院
pp.136-138
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104723
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1.はじめに
治療を求めて理学療法士の前に現れた患者や家族に対して,私たちは直ちに定形的な評価テストを開始する行為を取らない.医療カルテや画像診断等から疾患名や疾患の程度,あるいは医療相談室でのインテーク記録から家族背景,社会的背景等の事前情報を理学療法士の頭の中に記銘しておく.治療計画立案のための評価は,理学療法士がベッドサイドに訪床した時から,あるいは患者がセラピィ室に入室した時から始まる.患者の全体像を観察することから始めるが,この際の事前の予備知識はあくまでも仮説として,固定観念的な先入観にとらわれないように留意する.成人の患者ならば疾患名から離れて1人の社会人として,小児ならば1人の子どもとして,初対面者にどのような態度を取り,私たちに与える第1印象について素直に分析する.この全体像の第1印象が異様さを発しているなら,その異様さの原因と改善すべき課題として問題にする(図1).
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