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はじめに
対象者が相談に来ると,あるいはケースを発見すると,相談援助が開始される.その際,最も初期の段階の情報収集はインテーク(受理面接)と呼ばれる1).インテークは「取り込む」という意味であり,援助者が対象者と最初に出会う時期である.いいかえるとインテークは,援助の過程では対象者が最初に援助機関と出会う局面である.また,援助者が問題を的確に把握し,その人にとって最もふさわしい援助を判断する場面でもある.われわれOTが生活行為向上マネジメント (以下,MTDLP)を実践し,意味ある生活行為を聞き取るうえでも,インテーク技術は大変重要である.
今回はMTDLPの視点でOTに必要な,インテークの技術について述べたい.まずインテークでは次の3つの点に注意しながら進める必要がある.
①対象者(この段階では利用者ではない)の主たる訴え(主訴)に十分耳を傾け(傾聴),その要求(ニーズ)が何であるかを表明してもらい,的確に把握する.②援助者が所属する機関や施設が提供できるサービスの内容と機能を情報として詳細に明示し,対象者の要求と関連させて十分な理解と納得がいくようにわかりやすく説明する.③対象者の要求と,施設・機関が提供できる機能とが適合するか否かを検討しつつ,対象者による選択をさせる.
次に,意味のある生活行為を聞き取るときのインテークのポイントを以下に挙げる.本稿はこれらのポイントに沿って論を進める.
・対象者の思いを聞き取る(傾聴)
・対象者のニーズを的確に把握する(ニーズ把握)
・対象者が十分に理解・納得できるわかりやすい説明をする(説明力)
・対象者のニーズと施設・機関の提供する機能が適合するか確認する(合意形成)
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