書評
―坪井栄孝・大塚敏文(監修)―災害医療ガイドブック
小林 国男
1
1帝京大学救命救急センター
pp.102
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104714
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平成7年1月17日に神戸を襲った阪神・淡路大震災は,全国民を震憾させるとともに,わが国がいかに災害に対して無防備であるかを印象づけた.これまでにも災害はわが国で頻発しているが,局地的であったり人口の少ない地域に起こったために,国民の強い関心を引くには至らなかった.そのため医療関係者で災害医療に関わりをもつ医師はきわめて少なく,医学教育のなかで災害医療が取り上げられることもなかった.したがって,災害医療に関する単行書は,神戸に大震災の起きた以前には皆無であったといっても過言ではない.阪神・淡路大震災を契機に沢山の書物が刊行されたが,これらは震災時の体験や,それを基に防災や災害医療のあり方を問う報告書の類がほとんどである.この度,医学書院から刊行された「災害医療ガイドブック」(監修:坪井栄孝,大塚敏文;編集:国際災害研究会)は災害医療全般を網羅した画期的な出版物であり,災害医療への関心が深まった今,まことに時宜を得た書といえよう.
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