特集 特別養護老人ホームにおける理学療法
特別養護老人ホームにおける理学療法の実際
浜口 京子
1
Hamaguchi Kyoko
1
1香美郡老人ホーム組合立特別養護老人ホーム三宝荘
pp.780-786
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104639
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1.はじめに
特別養護老人ホームを歴史的にみると,もとは救貧対策としての保護措置対象(生活保護法による養老施設)だったものが,時代背景のもとに所得の多寡にかかわらず十分な保護が受けられない老人の心身のケアを目的とするものに転換していって,高齢者福祉対策における中心的役割を担うものにまでなっていった経緯がある.高齢社会である「21世紀をめざした医療供給体制」に向けて,診療報酬改定で示された在宅ケア重視の方向性は,わが国の高齢者対策の基調を施設ケアから在宅ケアへと方向を換えようとしており,1983年に施行された老人保健法や1990年に行われた老人福祉関連8法改正は,①老人居宅サービス,②老人デイサービス,③老人短期入所事業などの「高齢者保健福祉推進10か年戦略」を支援するための法的整備で,地域福祉サービスのあり方に大きな変化をもたらすものである.これによって,コミュニティベースの拠点づくりや既存の施設の専門機能を活かした支援体割づくりが行われ,医療機関や老人保健施設とともに,近年とみに老人福祉施設のケアの充実と地域の核としての特別養護老人ホームの役割が問われるようになってきた.
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