連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第118回
特別養護老人ホーム2題
大井 幸次
1
,
永野 一生
2
Ooi Kouji
1
,
Kazuo Nagano
2
1大久手計画工房
2永野建築設計事務所
pp.700-707
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100877
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「せんねん村」は,2001年春に愛知県西尾市にオープンした特別養護老人ホーム(以下特養)(80名)・ショートステイ(30名)・デイサービス(30名)・ケアハウス(15名)からなる複合型の高齢者施設である.「せんねん村」の設計コンセプトは,住みたくなる,利用したくなる環境・ケアづくり.ユーザーの立場で考えようという単純明快なものであるが,管理・機能面を重視する施設作りにおいては後回しにされる問題.中澤明子施設長は,あえてそこにこだわることに特養の未来を考えた.
●自分たちで決める
建設の2年前からスタートした設計会議には,施設長他看護師・寮母・厨房・総務・OT・PT 等各スタッフが参加して進められた.建物・運営におけるメリット・デメリットを各専門家がわかりやすく説明し,みんなで意見を出し合った.このスタイルにより誰もが他分野の考え方や気持ちを理解することができた.どの問題に対しても自分の意思を表わすことができた.「せんねん村」は,一般論に流されることなく,自己決定に基づいてつくられていった.それ故他施設と異なり,偏りもあり,ちょっと個性的な楽しい場所になっている.
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