入門講座 動作分析・4
慢性関節リウマチ患者の動作分析
阿部 敏彦
1
,
宮内 博雄
1
,
薦田 昭宏
1
Abe Toshihiko
1
1海里マリン病院理学療法部
pp.738-743
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104626
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Ⅰ.はじめに
理学療法士にとって,動作分析は,評価ならびに治療のいずれの過程においても重要な思考手段であることは,疾患を問わず周知のことである.
慢性関節リウマチ(RA)患者は,発症からの期間および疾病経過の結果として,種々の障害の広がりを呈する.特に能力障害(disability)においては,鑑別診断と極めて似通った機能障害(impairment)と比べて,疾患の特異性,個人の健康感,治療者側の障害把握,さらには患者を取り巻く医療体系にさえ影響を及ぼされ,その展開の過程では多くの問題が浮かび上がってくる.つまり,能力障害評価において,日常生活動作(ADL)テストの枠組みのなかでの動作分析では,RAの活動性,医学的管理,患者の環境改善などの問題に対して十分な対応策となり得ない.
今回は,機器によらない動作分析の実際というテーマのため,誌面の都合上,特に発症からの期間に着目して,ADLの障害度,体幹-上肢の関節可動域(ROM),下肢機能の推移を取り上げ,具体的にリーチ動作,起き上がり動作,椅子からの立ち上がり動作,床上の物を拾う動作に関して分析することにする.
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