入門講座 活動向上に生かす動作分析➏
変形性関節症患者の動作分析
酒井 孝文
1
,
高橋 昭彦
1
,
中村 春基
1
,
津村 暢宏
1
,
司馬 良一
1
Sakai Takahumi
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター
pp.1071-1077
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100936
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変形性関節症(以下OA)は関節の疼痛を主訴とし,関節構成組織の退行性変化に伴う関節機能の低下により日常生活活動(以下ADL),特に歩行動作や階段昇降動作の遂行に支障をきたしやすい疾患である.
本疾患に対する治療は,観血的療法と保存的療法とに大別される.保存的療法には薬物療法,装具療法,物理療法,運動療法などが挙げられ,変形性関節症の進行を阻止するうえで重要な役割を担っている.観血的療法には骨切り術,人工関節置換術などがあり,特に人工関節置換術は疼痛の緩和,変形関節の矯正が得られ概ね良好な治療成績が報告されている1,2).その一方で当術式の対象者の多くが高齢であることから,外科的操作によって急激に引き起こされた関節形態の変化に対応できないでいる症例も少なくない3).術直後は挿入されたインプラントが不安定な状態にあり,脱臼や深部静脈血栓症に代表される合併症発生の予防などリスク管理が重要な時期である4)と同時に,この時期患者は,疼痛回避を最優先させて運動を遂行しようとするため,代償的な運動が出現しやすい時期でもある5).そのため,短縮化される傾向にある在院期間中において徹底されたリスク管理を行うとともに,理学療法士にとっては,いかに的確な動作指導を提供できるかが重要な課題である.
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