Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
慢性関節リウマチ(RA)の病態追求については,近年とくに免疫学的検討がすすめられ,原因をさぐる上で重要な手がかりとなりつつある.他方,治療面ではSteroid剤への見直しから多くの抗炎症剤が開発され,対症的ではあるが,かなりのRA患者がその恩恵に浴していることは事実である.また,RAの主病変の場である関節の破壊など構造変形に対しては,1960年ClorneleyのLow Flection Total Replacement発表以来,各種の人工関節置換術をはじめとするいろいろな外科手術が積極的に応用され,リハビリテーションへ大きく貢献していることは否めない事実である.
これらの治療に拘らず思い通りの効果が得られず,同様の症状を示す患者に同じ治療を行っても結果が同じでないという事柄は,RAの原因が不明であることの他にそれぞれの患者の個体差,特徴が異なっていることによるものであろう.
今回のテーマは,RA患者における体力ということであるが,内外を通じてこれに関する報告は余りない様である.1956年Lansbury1)は,RAにおける全身活動性をあらわす1つの指標に患者の起床後の疲労出現時間をとり入れた.
しかし,これも個体差が激しいとしてそれ程重要視されない向きもある.われわれは本年第57回日本整形外科学会総会(札幌)の席上において,RA患者の機能障害に関与する因子の重みづけを重回帰分析を用いて検討した結果,最も影響の大きい因子は疲労であり,第2位がStage,次いで関節点数・握力・血沈などとなることを報告した.すなわち疲労はRAのactivityのみならず患者の体力とも大きい相関があろうことがうかがわれる.
そこで今回はRA患者における体力のエネルギー展開を生理学的な呼吸代謝の面から検討した.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.