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Ⅰ.初めに
起き上がりは歩行するための最初の動作である.歩行が可能であっても起き上がりができなければ,日常生活動作において,その歩行は何ら価値をもたない.したがって,進行性疾患のために徐々に全身の機能低下を増大させる慢性関節リウマチ(以下,RAと略.)患者において,起き上がり動作を維持させることは非常に重要である.
しかしながら,RA患者の起き上がり動作に関する報告は数少ない.江口ら1)は動作パターンと関節可動域,筋力,疼痛部位,RA stageなどとの関連性を調査している.長谷川2)は赤外線反射型動作分析システムと筋電計とを用いて動作分析を行ない,関節可動域や筋力が低下するとともに起居動作の自立度も低下し,下肢や体幹の筋力低下の有る症例では下肢の反動などを用いる代償パターンがみられると述べている.また,川西ら3)は,特に頸椎に異常を認めたRA患者の起き上がり動作の指導方法を取り上げ,各肢位では頸椎の中間位を保持し,反動を使わない起き上がりや,疼痛が増悪しない限り両上肢の使用を推奨していると述べている.
RA患者の起き上がり動作の報告が少ない理由に,立ち上がり動作や歩行と比較して,三次元的な複雑な動作であることや動作パターンが多種多様であることから,その分析が困難を極めることが挙げられる.さらに,RA疾患特有な個人差が大きいことや動作への影響因子が数多く存在することなどが,動作分析をより複雑にしていると考えられる.
これらのことを踏まえながら,今回,実際に行なっているRA患者の起き上がり動作訓練を紹介し,さらにRA患者の起き上がりの動作パターンの分類や筋電図学的分析を行ない検討したので報告する.
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