とびら
豊かな生活に向けて
菊谷 修
1
1クラーク病院リハビリテーション科
pp.603
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104590
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毎日往復に2時間以上の時間をかけて通勤をしていると実に沢山の人を見る機会がある.自分よりも年をとった人を見れば若い時はどんな人であったのか,若い人を見れば余計なお世話だがどんなふうに年をとっていくのかとついつい考えてしまう.人も年をとればそれなりの経験を重ね,その人らしさの色も濃くなり,こだわりの対象も千差万別となる.食べ物,おしゃれ,趣味…….
しかし一旦怪我や病気になり入院ともなると,治療という目的のためにその人なりのこだわりも管理という名の下に制限される.われわれも「効率よく」仕事をしようと「患者さんのAさん」とだけの関わりで済まそうとすることもある.そして,われわれの管理の網からこぼれると,「しょうがない患者さん」ということになる.一方「Aさん」自身は理不尽だとは思いながらもスカッとたんかを切ることもできず精々愛想の悪い患者となることで心のバランスをとる.
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