特集 高次脳機能障害をもつ患者の理学療法
適応障害のある患者の理学療法
冨田 昌夫
1
,
大槻 利夫
2
,
柏木 正好
3
Tomita Masao
1
1神奈川リハビリテーション病院理学療法科
2諏訪赤十字病院理学診療科
3富士温泉病院リハビリテーション科
pp.632-638
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104597
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1.はじめに
片麻痺患者の示す症状は,私たちに理解しにくいものも少なくない.非麻痺側で強く押し,麻痺側に倒れているのにまだ押し続ける患者(DaviesのいうPusher)1)の示す異常な恐怖心や不安感,それに伴う非麻痺側の過剰な筋活動はその典型的な例である.また,移動が可能になり行動範囲が広がって,自分の居る場所を様々に変えることが可能になっても常に狭い空間にしか注意が及ばず,動作能力が環境に左右されてしまう患者も少なくない.このような現象を環境に対する適応の障害として捉え,Affolterの概念で解釈し,問題の解決を試みた.
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