プログレス
血管壁レニン・アンジオテンシン系の最近の進歩
伊藤 裕
1
,
中尾 一和
1
Itoh Hiroshi
1
1京都大学医学部第2内科
pp.420-421
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104563
- 有料閲覧
- 文献概要
1.はじめに
レニン・アンジオテンシン系(RAS)は,強力な昇圧物質であるアンジオテンシンⅡ(AⅡ)の産生経路であるが,AⅡの血圧,水電解質ホメオスターシスにおけるその多彩な生理作用により,従来より内分泌系としてのRASの心血管および腎機能における重要性が指摘されてきた.近年,分子生物学的手法の発達に伴い,いわゆる自己分泌,傍分泌(パラクリン,オートクリン)系としての組織RASの存在が明らかにされ,それらによる各臓器における局所機能の調節の可能性が注目されるようになってきた1).本稿では,この組織RAS,特に血管壁RASについての最近の知見を中心に,その臨床的意義について述べたい.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.