1ページ講座 生理学的診断・9
肺機能検査・1 換気能検査
渡邉 修
1
,
大橋 正洋
1
1神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション科
pp.612
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104084
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呼吸とは,肺で行なわれる外気-血液間の酸素と炭酸ガスとの交換過程を意味し,①換気,②肺循環,③換気血液比,④拡散の過程から成り立っている.肺機能検査を評価するに当たっては,おのおの呼吸活動のどの過程を反映しているのか理解する必要がある.
肺呼吸分画検査(スパイロメトリー)(図1)は最も基本的な換気能検査である.肺のガス交換が十分に行なわれるためには肺内にガスが出入りする量,すなわち換気量が重要な因子になる.また換気量を十分に保つためには肺の容量,すなわち肺気量が問題となる.肺気量は肺が縮もうとする力(弾性収縮力)と胸郭系を広げようとする呼吸筋の力の均衡の上に成り立っている.スパイロメトリーで特に汎用される指標は,肺活量(VC),一秒率(FEV1%),努力肺活量(FVC)である.肺活量の測定値を評価するためには,性,年齢,身長が被験者と同じ健康人の値(予測値)と比較する.予測値に対する実測値の比率を肺活量比(%VC)と言い,通常80%以上を正常と判定する.また最大吸気位からできるだけ速やかに呼出させて得る肺活量,すなわち努力肺活量を測定する場合,図1のように初めは急峻でしだいにおだやかな傾斜をとる曲線(強制呼出曲線)が得られる.一秒量とは最初の1秒間の呼出量を示し,一秒率とは努力肺活量に対する割合を%で示す.通常70以上を正常と判定する.
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