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起立性低血圧
小野田 英也
1
1日本理学療法士協会
pp.491
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100966
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起立性低血圧は起立性調節障害(orthostatic dysregulation)とも呼ばれ,一般的には様々な疾患に合併する症状として知られている.これとは別に思春期に好発する自律神経失調症の1つで,朝起きられない,頭痛,全身倦怠感などの症状を引き起こす疾患として捉えようとする考えもある.理学療法分野で接する多くは前者である.
●診断基準と発生機序
起立性低血圧は,臥位と比較して立位での収縮期血圧が20mmHg,または拡張期血圧が10mmHg以上低下する場合とされている.血液は液体であり,立位姿勢をとると重力によって下肢に血液が貯留し,心臓への静脈還流が減少し,これに伴って心拍出量が減少する.心拍出量の減少によって大動脈弓や頸動脈洞にある圧受容体が反応し,血圧調整反射が誘発され,交感神経が刺激される.交感神経が刺激されることにより,末梢血管,特に下肢の血管収縮,心拍出力の増強,脈拍増加などが生じ,血圧,脳血流量が維持される.このメカニズムが何らかの原因で障害されることで起立性低血圧症状が現れる.
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