今月の主題 糖尿病診療の実際
合併症
起立性低血圧症
姫井 孟
1
Hajime Himei
1
1岡山赤十字病院・内科
pp.1026-1027
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219076
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糖尿病患者にみられる起立性低血圧は,慢性の自律神経障害患者を最も無能にしてしまう臨床像であり,特に腎症を伴い横臥位で異常な高血圧を呈し,起立によって低血圧をきたす例では,しばしばその治療に困惑する場合がある.
自律神経の障害で交感神経が侵されてくると起立時に末梢血管床における細動脈の反射性収縮が起こらず,末梢血管抵抗の減弱ないし消失が起こり,血液は下肢に集まり,中心静脈圧が下降し,心拍出量の減少と血圧の低下が起こる.また,同時に心血管反射を介する反射性頻脈が欠如(図)1)して眩暈や失神の大きな原因となる.起立によって収縮期圧が30mmHg以上下降し,なんらかの症状が出る場合には治療が必要となる.
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