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Ⅰ.初めに
地域リハビリテーションは社会リハビリテーションの下位概念で,障害者が地域社会の一構成員として社会生活に参加し,主体的に自らの人生を生き,生活していくための援助の総体を意味する.その目的は障害者にADLの自立を求めるのではなくその存在そのものに価値を見いだし社会活動への参加や家庭内の役割をもつだけではなく,障害後の新しい人生の生きがいを得るための援助をすることである1).また,小島によると社会リハビリテーションとは社会生活における人間存在の意味を全(まっと)うさせるための,障害者全人像と社会システムとそれを支える社会意識そのもののリハビリテーションであり,障害者の自助努力だけでは社会参加に限界があるため,環境にアプローチしてその人が生きる社会の中で権利と機会を享受できるようにすることである2).すなわち社会条件と本人の社会適応の援助を両面からすることにより,障害があっても社会生活面で差が生じることなく,特別のニードをもつ生活者として生活圏共有の道を開くことがねらいとなる.
これらのことからわれわれリハビリテーション専門職種の援助の目標は障害者の人間存在の価値の擁護,すなわちQOLの向上と社会適応能力の獲得である.
人はそれぞれの価値観(生きがい)をもっており,住む地域,家族,文化的背景もみな異なる.QOL向上のプログラムはその人特有の個別援助プログラムとなる.東京都心身障害者福祉センターに附設する肢体不自由者更生施設では医学的リハビリテーションが終了した者で地域社会へ戻る際,多くの困難がある社会的に重度な障害者に対して,福祉事務所などの種々の地域資源と協力して在宅生活援助を行なっている.
ここでは東京という地域に生活する障害者の援助を通して,QOL向上の現状と課題について述べることにする.
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