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入門講座 関節可動域訓練・3
距腿関節周囲の損傷に対する関節可動域訓練
Range of Motion Exercise. 3: Range of Motion Exercise for Injuries of the Ankle Joint
畠中 拓哉
1
Takuya HATAKENAKA
1
1川崎製鉄健康保険組合千葉病院理学診療科
1Department of Physical Therapy, Kawatetsu Chiba Hospital.
pp.631-638
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103593
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Ⅰ.初めに
足関節は足部と下腿とを連結し,足底に体重を分散したり運動の際に力の伝達や衝撃の緩和として働く.広義の足関節は距腿関節と距骨下関節とを含むが,狭義の足関節は距腿関節を指す.
関節拘縮についての基礎研究や臨床報告は膝関節で数多くみられるが,距腿関節ではほとんど見当たらない.その理由として次のことが考えられる.距腿関節は膝関節と比べると関節構造が安定している上に関節可動域の範囲が小さく,可動域の制限があっても他の足部の関節や靴などで代償が可能である.さらに整形外科医の間では,距腿関節で可動性を得ることよりも安定性を得ることを重視している.
しかし人体の中で唯一地面と接する距腿関節の可動域制限は,歩行や階段昇降などの移動動作および日本人に特有な正坐やしゃがみこみなどの動作を困難にする.
本稿では足関節を狭義の距腿関節としてとらえ,関節拘縮の基礎研究や機能解剖などの基礎知識を整理する.そしてそれに基づいて関節拘縮を残しやすい足関節周囲の外傷を紹介し,関節拘縮の予防と治療について述べる.
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