とびら
息と生
土田 正勝
1
1諏訪赤十字病院
pp.3
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103173
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肺理学療法を始めるようになってから,感動的場面に遭遇することが多くなった.
灼熱の太陽が照りつけるある日の昼下り,人工呼吸器より離脱に成功した終末期にあるALS患者の搬送に主治医,看護婦とともに救急車に乗り込むことになった.路面は悪く,時々大きく揺れる.その度に水様性の痰が気道を塞ぐ.「吸引,吸引!」狭い車の中は正に戦場のような騒ぎである.「お父さん,しっかりして!」妻の必死の叫びの中でうつろな目がうなずく.
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