特集 脳卒中;回復期以降の理学療法を中心に
脳血管障害者の退院後の継続理学療法―一般病院勤務者の立場から
稲坂 恵
1
1横浜市立市民病院リハビリテーション科
pp.31-32
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103182
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1.初めに
脳血管障害者に対するリハビリテーション(以下「リハ」と略.)は,その必要性,重要性が社会的に認識されてきており,これに伴ってその内容,システムも変化発展していると評価できる.具体的には早期リハの充実,入院中の各種アプローチに対する保健点数増加,退院前の在宅訪問や指導の保健点数化,退院後の在宅訪問の制度化などが掲げられる.しかし,このようにリハの内容は確実に発展してはいるものの,急性期,回復期,それ以降を区別した場合,施設間の連携の不十分さなどのために,各時期を通した一貫したシステムは,まだ不備が多いと言える.
急性期から回復期については,各施設に特殊性が有り,かかわる時期は自ずと規定されているが,回復期以降のかかわりについては,各施設の立場,方針により異なり,さまざまな形で施行されていると思われる.現在までに,回復期以降のリハの在るべき姿や方法論については,十分な議論が為されておらず,今後の課題は大きいのではないかと思える.
今回,回復期以降の理学療法を論ずるに当り,回復期以降をどうとらえるかという定義が見当たらないことから,この時期を“十分な急性期医療を受け,初期リハ入院を終了し,家庭に戻った後”と定義することにした.したがって,自宅退院した脳血管障害者の継続理学療法が,どのようなもので,どう在るべきかについて,私見を述べることとする.
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