Japanese
English
入門講座 関節の運動学と運動療法・4
頸椎
Kinesiology of Joints and Therapeutic Exercise. 4: Cervical Spine
林 義孝
1
,
中川 法一
2
,
米田 稔彦
1
Yoshitaka HAYASHI
1
,
Norikazu NAKAGAWA
2
,
Toshihiko YONEDA
1
1大阪大学医学部附属病院理学療法部
2吹田市立吹田市民病院理学診療科
1Department of Physical Therupy, Osaka University Hospital.
2Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Suita Municipal Hospital.
pp.687-694
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103117
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Ⅰ.初めに
運動療法を用いて,正常な範囲から逸脱した身体運動の改善を行なう理学療法士にとって,人間の身体に関する科学として位置付けられている身体運動学(Kinesiology)を理解することは必要不可欠であると同時に,運動療法への応用と関連して学問的興味を強く引かれる領域である.
頸椎の運動メカニズムに関して,運動学(kinematics)および運動力学(kinetics)の研究成果は,機能解剖学に比較して運動療法に応用しうる知識は必ずしも多いとは言えない.例えば,頸椎の関節運動や頸部筋の機能では,特に頸部の安定性に関与する筋の協調性や,咀嚼,嚥下運動における咀嚼筋,舌骨上下筋群の協力関係など,運動療法にとって重要とされるところの十分な解明にはまだ多くの時間を必要とするようである.同様に,この分野の基礎的理論として受け入れられているHettingerに始まる筋力増強訓練における理論を,頸部の筋をはじめとした脊柱筋にも応用できるかは,検討を要するところであろう.
ここでは頸椎の運動学と運動療法について述べるが,内容を教科書的なことから一歩踏み出し,頸椎疾患の運動療法を実際に行なう場合,つねに臨床的基礎知識として把握しておくべきものとした.
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