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Ⅰ.初めに
リハビリテーションはチーム医療であることは周知のことである.患者を中心として,効果的かつ有機的なリハビリテーションサービスを行なうため,医師をはじめとして多数の関連職種によってチームが形成されている.このチーム医療の成果の成否はこれらに携わる関連職種の量的ならびに質的な能力もさることながら,チーム内の人間関係の在りかたによっておおいに左右されることも事実であり,このことを抜きにしてチーム医療を考えることはできない.また,医療以外においても,例えば臨床教育や臨床研究などの場面でも多くの領域の専門職種の人々とのかかわり合いが必要とされる.さらに,地域リハビリテーションサービス事業などにみられるごとく,院内のみならず,院外においても,好むと好まざるとにかかわらず多くのチーム・メンバーとかかわり合いながらリハビリテーションが遂行されている.
このように,理学療法士に求められる役割の多様性と複雑化あるいは専門分化などに伴い幅広い場面において,人と人とのつながりが必要となり,協調性のある人間関係がつねに求められることになる.しかしながら,現実的にはスタッフの人間性や性格などのパーソナリティー,相互の役割の認識や理解力の不十分さ,コミュニケーション不足,運営機構上の問題など種々の要因により,すべての場面で好ましい人間関係を保つことは困難であり,不可能ではないかと思える.
そのような状況下で,本講座では院内における他職種との人間関係について,大学病院に勤務する理学療法士の立場より,私どもの大学病院での在りかたを紹介するとともに,幾つかの私見を交えながら考察を加える.そして,これらの人間関係に関する場面設定も当然,リハビリテーションにおけるチーム・ワークの基盤としての観点から述べられるべきであると考えている.
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