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特集 臨床教育
疾患・障害別にみた到達目標
大腿切断の理学療法―臨床実習において教えるべきこと
Physical Therapy for Above-Knee Amputee: What Should We Teach The Physical Therapy Student in Clinical Education?
林 義孝
1
Yoshitaka HAYASHI
1
1大阪大学医学部附属病院理学療法部
1Osaka University Hospital Department of Physical Therapy.
pp.518-521
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103835
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はじめに
理学療法士養成課程の学生は義肢装具学を105時間という,比較的長時間を費やし義足や切断者リハビリテーションに関する知識を体系的に学んでいる.
しかし,これらの知識を十分教室で学んできたはずの学生たちが,臨床実習の場においてはどうであろうか.実際の切断症例を前にしたときに,なす術(すべ)もなく立ち竦(すく)むことが多いのではないだろうか.では,臨床実習の場で学生たちが戸惑う原因は,どこにあるのであろうか.筆者自身は,学校において義肢装具学を一年間にわたり講義し,同じ学生たちを今度は臨床の場で迎え再び教育をする立場にある.その経験から学生の戸惑う原因を考えてみると学校で教えたこと,すなわち教科書に書かれている内容が,実際の臨床と違うことにあるのではないかと思う.
教科書は理想的な環境で,理想的に行われた切断例に,理想的な義足が装着される前提で書かれている.また,外国で行われていることがそのまま日本に当てはめられている場合がある.臨床の場からみると日本の教科書は,「絵に描いた餅」的な存在に感じられる.この違いを学生たちが症例を通して体験し始めると,戸惑いを感じてくるようである.
本稿では,臨床実習の学生が感じる教科書に書かれていることと,実際の臨床とのギャップをいかに埋めるかについて述べたい.ここでは,臨床実習における学生が大腿義足について必要最少限,習得しなければならないことについて述べるが,具体的な技術的対応方法については割愛させていただく.
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