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特集 苦労した症例報告集
―地域リハビリテーション―継続医療活動において実施上苦労した症例について
Reports on Difficult Cases; Rehabilitation in Community: Difficult Cases in Continued Medical Care in Community
伊藤 隆夫
1
Takao ITO
1
1近森リハビリテーション病院
1Chikamori Rehabilitation Hospital.
pp.179-182
発行日 1990年3月15日
Published Date 1990/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102972
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Ⅰ.初めに
地域リハビリテーションという分野での活動報告となるが,地域リハビリテーションという概念自体がまだ新しく,また,考えかたとしても統一されたものが無いというのが現状と思われる.そもそもリハビリテーションの真の目的は,単なる身体機能の回復のみにあるのではなく,疾病などを契機に破綻をきたした「生活の再建」にあるとすれば,その概念の中には当然「地域」が含まれ,生活の場である「地域」において,いかに自立した,質の高い生活が展開できるかということが重要な課題となってくる.
したがって,リハビリテーション医療も病院という場だけで展開されるのではなく,当然「地域」(=生活の場)へのかかわりが必要となってくる.ここで紹介する「継続医療」活動はこのような理念に基づいて,医療機関から地域へのかかわりの一つの形態として位置付けられると考える.
当院においては,1986年6月よりリハビリテーション専門医が置かれ,リハビリテーションチームアプローチが本格的に開始された.その過程で,病院を退院し自宅復帰していく人々に対して,病院スタッフによる「生活の場」での援助,つまり,継続的な「生活の自立」への援助を提供することが必要なのではないかと考えられた.そして,2か月間の試行期間を経て,1987年4月に継続医療室が正式に発足し,試行錯誤を繰り返しながらも活動を行なってきた.
今回は,この継続医療活動のシステムと実績の概略とを紹介し,実施上苦労した症例について,その問題点を検討し,今後の地域へのかかわりについても考えていきたい.
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