臨床実習サブノート 基本動作の評価からプログラムを立案する・7
脊髄損傷患者の基本動作の評価からプログラムを立案する―対麻痺患者の寝返り動作から移乗動作まで
江口 雅之
1
Masayuki Eguchi
1
1中部労災病院リハビリテーション診療科
pp.939-945
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102607
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はじめに
私たちが自己の身体を認識するためには,視覚や体性感覚の情報が重要である.突然の事故などにより脊髄に障害を受けると,体性感覚情報が断たれ,身体の認識が困難となる.脊髄損傷患者は受傷した時点から,損傷髄節より下位の身体機能が障害される.このことは損傷部位以下の知覚,運動を失うことによるボディイメージの喪失を意味する1).脊髄の障害では,身体機能が横断的に損傷されるため,受傷前とは異なった姿勢制御や運動戦略の選択が必要となる.これらのシステムを再構築しADL(activities of daily living)を獲得するためには,上肢を主とした基本動作を学習する必要がある.
本稿では,脊髄完全損傷の対麻痺患者について,障害特性から考えられる姿勢や動作の特徴を理解し基本動作を獲得するための運動療法について概説する.
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