講座 医療経済・1【新連載】
これからの医療・介護と理学療法
川渕 孝一
1
,
梶谷 恵子
1
Koichi Kawabuchi
1
1東京医科歯科大学大学院医療経済学分野
pp.929-937
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102604
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2012年度診療報酬改定は6年ぶりに介護報酬と同時改定となった.本体が1.379%の引き上げ(内訳は医科1.55%,歯科1.70%,調剤0.46%),薬価等が1.375%引き下げで改定率はネットで0.004%のプラス.金額にして約5,500億円となるが,医科はそのうちの4,700億円を医科に配分した.その内訳は,①「負担の大きな医療従事者の負担軽減」(1,200億円),②「医療と介護との機能分化や円滑な連携,在宅医療の充実」(1,500億円),③「がん治療,認知症治療など医療技術の進歩の促進と導入」(2,000億円)である.前回とは異なり,入院・外来に区別は設けなかったが,厚生労働省の試算では入院が3,300億円(2.07%増),入院外が1,400億円(1.01%増)となる.このほか,それぞれ500億円,300億円配分された歯科や調剤薬局も在宅歯科医療や在宅薬剤管理指導に重点を置いている.
まさに社会保障・税の一体改革で示したグランドデザインの実現に向けた改定だが,ポイントは在宅医療への布石作り.果たして,施設から在宅へのシフトは生まれるのだろうか.本稿では,これからの医療・介護の方向性をとらえたうえで,理学療法士はどのような姿勢で取り組むべきか,またどのような研究をすればevidence based lobby(根拠に基づくロビー)ができるかについて概説する.
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