臨床実習サブノート 基本動作の評価からプログラムを立案する・2
片麻痺患者の基本動作からプログラムを立案する―床上動作から座位保持まで
丸山 陽一
1
Yoichi Maruyama
1
1JA長野厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院
pp.461-467
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102294
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はじめに
臨床実習生にとって片麻痺患者の基本動作評価は難解でストレスの大きいものである.それは麻痺の程度や高次脳機能障害,発症前からの関節痛や可動域制限など,動作に支障を来す要因が複雑に絡んでいることが多いからである.さらに残存機能での代償運動や,過剰な努力によって生じる連合反応など見極めなければならない要素には事欠かないし,健常者でも個体差があるので標準がはっきりしない.臨床で簡便に使用できる実用的な計測機器がない現状では観察による動作分析に頼るしかないが,観察についてもその手法や表現について標準化されていないため,明確な正解がない「不適切問題」のようなもどかしさを感じてしまうことだろう.
では,熟練したセラピストはどのように動作を評価しているのだろう.実習生との大きな違いは,プログラムを導きだすための検証作業を行っているかどうかだと思う.同じ時間観察していても,処理する情報量が圧倒的に違うのだろう.
今回は片麻痺患者の床上動作から座位までの基本動作を,観察から推測できる力学的要素で解説し,片麻痺の特徴と代償として考えられる動作をまとめてみた.動作分析からプログラム立案までのヒントになればと思う.
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