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はじめに
筆者がリハビリテーション(以下,リハビリ)の世界に入ってから40年が経とうとしている.在宅・地域へのかかわりは,最初に勤務した横浜での筋ジストロフィー児の在宅訪問が最初である.その時の記憶は今なお鮮明で,医師,理学療法士,作業療法士が自宅を訪問し,理学療法士は寝返りの福祉用具,作業療法士はBFO(ball-bearing forearm orthosis)が適応かと提案したものの見事に失敗した.教科書通りにはいかないことを実感させられた出来事であった.
その後,1983年に施行された老人保健法に基づく機能訓練事業では,市町村の保健センターへ病院から出向き,個別対応,そして集団レクリエーションなどを行った.もちろん在宅へも訪問指導としてかかわった.さらに,当時全国で初めてかもしれないが,長尾竜郎副院長の発案で設置された地域リハビリ部を有する富山県高志リハビリテーション病院に転職し,2,3年後からは県内各市町村で地域リハビリ支援事業を展開し,寝たきり老人等の事例にチームでかかわった.1992年からは本格的に病院単独の退院患者の訪問リハビリに携わるようになり,2000年の退職後は訪問看護ステーションを支援する形で在宅の要介護者にかかわるようになった.現在は県東部の5つの訪問看護ステーションとかかわっている.いずれも常勤換算2.6~4.85人の小規模のステーションであり,人口14,000人,高齢化率32.4%という超高齢の農魚村町から県庁所在地まで,それぞれの地域の特色も多様である.
本稿では,小さな行政区(いわゆる過疎地)から比較的大きな行政区(いわゆる都市部)の訪問理学・作業療法士としてみえてきたことを,地域包括ケアシステムに不可欠な連携強化の視点を踏まえ,私論を交えて述べる.
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