理学療法臨床のコツ・25
脳性麻痺児に対する理学療法のコツ―姿勢指導のコツ
岸本 眞
1
Makoto Kishimoto
1
1堺市立重症心身障害者(児)支援センター準備室
pp.242-244
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102223
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「コツ」は本来指導不可能なもの
技能伝達の場でしばしば用いられる,教える側の「コツ」や教えられる側の「カン」については,脳性麻痺児に対する理学療法技術の伝達はもとより,学校教育における鉄棒で逆上がりのできない児童への体育指導や,優美なダンスなどの芸術領域から,0.1秒の優劣を競うトップ・アスリートの運動パフォーマンスのコツを指導するためのコーチングに至るまで,広く運動指導領域に共通した普遍的概念であると考える.しかしコツを伝えるためには,動作のためらいや躓きといった,あくまで個人の内的世界に生まれる主観的な運動感覚であるキネステーゼ(動感)は,自然科学に基づいた運動分析によらない間主観的(intersubjectivity)分析であるために,客観性に乏しいと指摘される.しかし近年になって,「私の動きやすさ/づらさ」という,数値化できない運動の意味論的な現象学的分析と指導方法論が議論され始めてきている.
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