理学療法臨床のコツ・27
脳性麻痺児に対する理学療法のコツ―家族支援のコツ
前原 利彦
1
Toshihiko Maehara
1
1きりしま子ども発達支援センター
pp.434-436
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102287
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はじめに
まず,脳性麻痺をもつ子ども達と家族を取り巻く環境の変化を振り返ってみましょう.
高木憲次の提唱1)で,1942年に東京整肢療護園が開園(現・心身障害児総合医療療育センター),1947年に児童福祉法が制定され,1963年全国に肢体不自由児施設が設置されます.現在,全国61の肢体不自由児施設では入園期間の短縮と外来への移行が進み,入園児数は3,045名(2002年)で毎年百数十名ずつ減少しています.
一方,重症心身障害児施設2)は1961年小林提樹を園長に島田療育園(現・島田療育センター)が開設され,1967年に重症心身障害児施設は児童福祉法で定める施設とされました.全国の重症心身障害児38,000人(2008年推定)のうち,約10,000人が122の施設に入所し,それ以外は在宅で生活しています.
教育においても1979年に養護学校を義務教育化,訪問教育が制度化され,原則として就学猶予がなくなりました.
このように,脳性麻痺を含む障がいをもつ子ども達の生活の場は施設から在宅へと変遷してきました.家庭療育の視点も,いかに家族指導し施設の生活を家庭に刷り込んでいくかというものから,家庭生活を基盤とした療育3),つまり家族支援の視点へ移ってきています.
そこで,今回は,短い紙面ですが家族支援のモデルとして家族中心主義を紹介し,その実践のこつを皆さんとともに考えていきたいと思います.
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