特集 運動学習と理学療法
運動学習理論にもとづく理学療法の展開
池田 由美
1
Yumi Ikeda
1
1首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
pp.45-50
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102166
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はじめに
運動学習について,シュミット(Schmidt. RA)は「熟練パフォーマンスの能力に比較的永続的変化を導く練習や経験に関連した一連の過程」と定義している1).これを理学療法に応用すると,運動学習とは「練習や経験を通じて運動や行為能力を獲得する一連の過程」と定義することができるのではないかと考える.運動や行為能力を獲得するための練習の場が理学療法であり,理学療法を通じて経験されたことが記憶として蓄積されていくことになる.毎回の理学療法の経験が,それまで蓄積された記憶と比較照合されて運動のモデルが更新されていき,更新されたモデルが次の経験を生み,またその先の経験を生むというように,経験の積み重ねの記憶が,運動・行為能力を創り出していくと考えられる.このように経験の積み重ねの過程が学習であり,理学療法を通じてどのような経験をすれば,運動・行為能力の回復につながるのかを念頭において,実施することが必要となる.
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