講座 炎症と理学療法・4
全身炎症と急性期の理学療法
木村 雅彦
1
Masahiko Kimura
1
1北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
pp.711-716
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102043
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はじめに
これまで本シリーズでは,炎症が病態の形成と進展とに重要な役割を果たし,侵襲と炎症によって全身反応が惹起され,臓器障害はその一部分症状であることが述べられてきた.また,慢性炎症が生活習慣病の病態形成に大きな役割を演じていること,運動療法を中心とする理学療法に対して,病態の進展抑制や予防における作用機序としての抗炎症作用が期待されていることが示された.
一方,同様に高度の全身反応を呈する全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)に代表されるような,侵襲下にある急性期の対象者に理学療法を実施するためには,まず病態とその制御について理解することが求められる.しかし,これらの知識は単に病態を理解するために取り扱うのではなく,全身への影響,特に運動機能と運動器のトレーナビリティへの影響を考えるためにこそ必須のものである.患者評価と治療計画の立案に活かすために,理学療法士自身がその重要性を認識する必要がある.
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