1ページ講座 義肢装具
坐骨収納型ソケット(Ischial-ramal-containment:IRC socket)
大峯 三郎
1
1専門学校九州リハビリテーション大学校
pp.60
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101848
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●坐骨収納型ソケットの特徴と適応
大腿義足の標準的なソケットデザインである吸着式四辺形ソケットには,歩行時の立脚相後期にソケット坐骨受けが坐骨結節を突き上げて不快感を生じる,断端が外転位をとりやすく立脚相での側方不安定性が増して体幹側屈を生じる,ソケット前後径を狭くしているので断端やスカルパ三角部大腿動脈を圧迫するなどの問題点があり,これらを解決するために坐骨収納型(IRC)ソケットが考案された.ソケットの前後径を広く,内外径を狭くして坐骨結節をソケット後壁上縁ではなくソケット内に収納したことが特徴で,坐骨枝がソケット内でしっかりと骨性に固定され,大腿骨の内転位保持が可能となり,中殿筋の筋効率が高まり義足立脚時に体幹の側方安定性が確保される.体幹の側方傾斜などの異常歩行やソケットの装着感,特に殿部での違和感などが改善される.大部分の大腿切断者に適応があるとされるが,義足立脚時に体幹の側方動揺が見られる症例,坐骨結節部に疼痛や圧迫感を訴える症例や短断端,末梢循環障害の症例などがその対象とされる1).
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