社会生活に関連した動作―家事

Activities parallel to Daily Living House Work.

　「家事」とは

　一口に「家事」といっても，その定義は必ずしも明確ではない．「家事とは世帯を維持するためにされる仕事で，もし家族員の誰かがそれをやらない場合には誰かを雇わなければならない仕事である」と定義している書物があったが，これは，従来からの一般的な定義である「家庭生活の場における，家族員の労働力の再生産である」よりは今日的であると思われる¹⁾．今日，家庭は変動しているし，「労働力の再生産」とは呼べない仕事，老人や病人の看病・世話なども「家事」の中に入ってきているからである．

　次に「家事」の範囲であるが，これがまたはっきりしない．天野は，家事労働を，①生活手段をととのえる労働（狭義の家事労働，ハウスキーピングとも言う），②家族内の人間を対象とする労働（サービス労働とも言う．育児，教育，老人の介護など），③家政管理労働（ホームメイキングとも言う，予算などの計画，家計簿などの記録，商品知識などの学習が含まれる）の3つに分類した¹⁾．